目次
①義肢装具士について
(義肢装具士とは)
義肢装具士は医師の処方の元に、義肢および装具の装着部分の採寸や採型などや、製作、身体への適合などを行う専門職です。国家資格の中では比較的取得しやすい資格であると言えます。しかし、義肢装具士は、仕事をする上で健常者には計り知れないダメージを受けており、義肢や装具を必要としている人と接することになりますので、障害のある人に対する正しい知識と理解の気持ちを持つことが大切になります。義肢装具士の仕事は、社会復帰が楽ではない人の心身をサポートする役割も担っています。その点を理解しないと、義肢や装具を必要とする人と接することに、抵抗を感じて離職することになることも考えられます。
(義肢装具士の資格)
義肢装具士の資格は、年に一回のマークシート方式の国家試験に合格する必要があります。義肢装具士はまだ数が少ないので、その分活躍のチャンスが大きいとも言えます。最近では、女性の義肢装具士が増えつつありますが、女性の感性や視点が加わることでますます多方面の活躍の場が期待される職業でもあります。社会人経験を経て、他の職種から義肢装具士への転職を考えているケースもあり、専門学校の学生の多くは社会人の経験を持っています。
(義肢装具士の受験資格ルート)
義肢装具士の国家試験を受けるには、指定の教育機関で専門課程を修了していることが必要です。国家試験受験までのルートとしては、高校卒業後、義肢装具士養成課程のある専門学校で3年間、学ぶルートや、大学、短大で1年以上学び指定科目を履修したのちに、養成施設で2年以上学ぶルート、職業能力開発促進法に基づく技能検定に合格し、養成施設で1年以上学ぶルートという3つの方法があります。
②難易度・試験科目・試験日程などについて
(難易度)
義肢装具士の国家試験の合格率は80%を越えていますので、数字上は簡単な試験だと思われることもあるようです。しかし、しっかり勉強をして試験に備える人が多いので高い合格率になっているということがあるようです。合格率は目安と考えて、長い時間をかけて計画的に試験に取り組まなければ試験に合格することは難しいと思われます。
(試験科目)
試験科目は、臨床医学大要、義肢装具工学、義肢装具材料学、義肢装具生体力学、義肢装具採型・採寸および義肢装具適合学があります。臨床医学大要は、臨床神経学、整形外科学、理学療法・作業療法、リハビリテーション医学、関係法規を含む離床心理学などです。義肢装具工学では、図学・製図学、機構学、制御工学、システム工学、リハビリテーション工学です。
(試験日、合格発表、試験地)
試験の実施は2月下旬に行われる予定で、合格発表は3月下旬に行われる予定です。試験地は東京都です。
③就職先・仕事の内容・年収などについて
(就職先)
義肢装具士の活動はリハビリの場面となります。理学療法士など他の職業と協力をして義肢装具を作っていくために、採寸などオーダーメイドの情報収集をすることになります。義肢装具士の就職先は、病院ではなく義肢装具を作る企業や製作所が中心となります。義肢装具が、利用者のいるところでつくられるのではなく、工場などでつくられることが多いからです。利用者である患者のいる病院に訪問して採寸を行いますが、いかに正確なデータを収集するかで作成装具の質が変わりますので、採寸の行程は非常に重要になります。
(仕事の内容)
義肢装具士の仕事は、事故や病気で手足を失った人の義肢をつくることや、身体障害の人の身体の機能を補助する装具の製作をすることです。その仕事の目的は、少しでも快適な生活を送ってもらうことで、できないことを少なくするということです。そのために、身体と義肢装具が適合するように、採寸から組み立て、仕上げまでの工程を丁寧に進めていくことが必要になります。義肢をつけて競技をする人やスポーツをする人が多くなったことで義肢装具士の仕事が増えており、スポーツ用品店などでも義肢装具士が活躍していることもあります。また子ども用の義肢や装具を使用することも多くなっており、子ども用の指導も義肢装具士の仕事になっています。
(年収など)
勤務先の規模などによって違いがありますが、初任給は20万円前後で、義肢装具士全体の平均年収は300万円から500万円程度と言われています。大手の義肢装具製作所の場合は、経験や勤続年数による給与の上昇率が良く、各種保険や手当、賞与など待遇が厚いところもあるようです。ただ規模が小さい会社でも、管理職などになれば高待遇が期待できる場合があります。
④義肢装具士学校徹底比較
★桐蔭横浜大学
桐蔭横浜大学は実学を重視する教育方針で、徹底した少人数教育を行います。最新の設備で学生の勉学をサポートして、一人一人が目標を実現できる力を身につけることを目指します。本学のスポーツ健康政策学部のスポーツテクノロジー学科で学ぶことにより、義肢装具士の資格取得を目指すことができます。
西部学園医学技術専門学校東京新宿校
西部学園医学技術専門学校東京新宿校は、東京都で唯一の義肢装具士の養成校です。医療、福祉、リハビリ、介護など幅広い分野で活躍できる、ホスピタリティマインドを持つ義肢装具士を育成します。きめ細かな少人数制で就職に強く、学園祭などのイベントも充実しています。
人間総合科学大学
人間総合科学大学は、人間の真の幸福と健康の実現を目指し、より実践的な社会貢献を実現するために、社会のニーズに柔軟に迅速に対応し優れたプロフェッショナルを養成します。少人数制による指導とカリキュラムにより資格の取得にも強い義肢装具士などを育成します。
国立障害者リハビリテーションセンター学院
国立障害者リハビリテーションセンター学院は、国内で唯一の国立義肢装具士の養成校です。履修カリキュラムは、障害の原因となる疾患、運動障害の病態などの理解を促す医学系と。現代的な製作技術にかかわる工学系科目を中心に編成されています。全国各地の製作施設などでの長期の実習など、実践的な訓練が徹底されています。卒業後は、教育、研究開発など様々な分野で指導的な役割を果たしています。
新潟医療福祉大学
新潟医療福祉大学は、保健、医療、福祉、スポーツの総合大学で、就職率徹底比較全国第★です。全学科で国家資格をはじめとする専門資格の取得に対応しており、学生が共に学ぶ連携教育により、将来のチーム医療、チームアプローチの一員として活躍できる人材を育成します。充実したカリキュラムで資格の取得に有利で、就職にも強い特徴があります。
⑤まとめ
義肢装具士の仕事は、単なるものづくりということではなく、何らかの理由で義肢装具を使用しなければならない患者のことを思いやることができる温かい心と、コミュニケーション能力が求められる意義深い業務です。義肢装具に使用される座量は年々進化しているので、日々新しい技術に関する知識の収集も必要です。小さな義肢装具会社は義肢装具士がすべての行程を担いますが、大手の場合は分業化が進み、ここの適性を活かした効率的な製作も進められて、働き方の広がりも出てきています。